不測に立ちて無有(むう)に遊ぶ

不測に立ちて無有(むう)に遊ぶ

2016.09.19

今日も玄侑さんの「荘子」より抜粋させていただきました。

 

これはまさに、未来を憂えない生活の指針だと言えるでしょう。道徳を掲げ、一定の目標を

現実に引き寄せようともがくのではなく、とりあえず現実を容認し、それに順応していく。

荘子に言わせれば、予測とはまさに人為であり、人を不自由にするものです。むしろ不測に

立ち、何も予測せず無心でいることが一番強いのです。

このことが最もはっきりと分かるのが武道の世界です。柔道でも剣道でも、試合で相手と

対峙した時、相手がどんな動きをするかシミュレーションするよりも、無心でいるほうが強い。

予測と違った動きをされた時の反応の遅れは致命的です。何も考えていないというのが、最も

速やかに対応できる状態であり、それが強さになるわけです。

「不測に立ちて無有に遊ぶ」。荘子によると明王はこれで国を治めたと言いますが、もちろん

実際の政治においてはありえない考え方でしょう。政治の仕事とは予算を立ててそれを執行する

ことです。予算を立てるということは、まだ起きていないことを予測し、実現の計画を

立てるわけです。そこで、「不測に立ちて無有に遊ぶ」を実践することは難しい。ただ、

個人においては、考えてみる価値は充分にあるのではないでしょうか。今の日本では、

仕事でも家族のスケジュールでも、誰もが計画を立てすぎているように感じることが

あります。いろいろなことがあまりにも細かく決まっているため、氣で感じるとか、直観に

導かれるといった機会がないのではないでしょうか。

「無有に遊ぶ」に込められた意味は、未来はここにはないのだから、「ないという今を遊ぶ」

ということです。多くの人は、今日やるべきことが終わると、明日やることをつい引き寄せて

しまいます。「明日できることは今日やらない」という強い信念がないと、人間は深くは

休めない。「無有に遊ぶ」とは、忙しい現代の私たちにとっても優れて大事な教えなのです。

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