「菊と刀」ルース・ベネディクト
2022.08.4今日は尊敬する玄侑さんの「日本的」より抜粋させていただきました。
「第二次世界大戦中に日本研究の仕事を委嘱されたアメリカの文化人類学者
ルース・ベネディクトは日本文化の型を「菊と刀」と題する論考によって
提出した。
菊を丹精する人々の様子からうかがえるのは、かそけき命へのあふれるほどの
愛情である。しかしその同じ人々が、刀を愛し武士道を尊敬するのはどういうわけ
なのか。
むろんこれらは、人には何らかの一貫性がなくては全体がばらばらに瓦解してしまう、
と考える人々の観察である。彼らにすれば大いなる矛盾を思える二つの事柄が、
日本人にとってはどうやら縦糸と横糸のように織り成されている。アメリカ人の
彼女にはそれが理解できないというのである。
ベネディクトは不思議そうにこのような日本人を眺め、そして西欧人を律する
「罪の意識」とは違った「恥の文化」をこの国に見出すわけだが、ベネディクトの遠大
かも知れない意図はとりあえず離れ、ここに表現された日本人像を素直に読み返すと
荘子の言う「両行」という在り方が見えてくる。
例えば、「善は急げ」と「急がば回れ」が、どちらかを選ぶべく突き詰められるのではなく
、日本人にとってはどちらも正しく、むしろ場合によって使い分けるべき方便でさえある。
「両行」は、深い所で日本人の行動や性癖を支えているのではないか。」
私としては、ベネディクトの「菊と刀」を荘子の「両行」に収めるところが、さすが玄侑さん
らしきところだと思いますが、私も、か弱い菊のかそけき命を愛するのも日本人の良さと
思いますし、いざと言う時に敵も斬り、腹も切る武士道も日本人の良さと考えています。
昨今、この両方が失われようとしている気がしてならない・・
利便性・高効率だけを追求したスマホやSNSが人間をダメにしているのは自明である。
自然破壊を大手を振ってやってきたことに対する自然界からの逆襲、自然災害やウイルスなど、、
そろそろ人類は気付かないといけない気がする。
自分はかねてから、一度昭和に戻らないといけないと言ってきたが、もっと前の
武士道の時代に戻らないと、日本人の良い心が完全に失われてしまうと危惧するのは
自分だけだろうか・・