「自分に合った仕事」なんかない

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「自分に合った仕事」なんかない

2017.04.16

今月は、養老孟司先生の書「超バカの壁」より抜粋させていただきました。

養老先生は皆様ご存じのように、東大医学部卒の解剖学者ですが、頭の堅い科学者ではなく

仏教の考えを背景にお持ちで、医学という閉鎖社会にとらわれずに、人間の本質を

的確に分析・考察されています。

 

もっとも、ニートやフリーターの人が幸せかどうか、それは別の問題です。

どうも現状に満足しておらず、何かを求めている人が多いらしい。それで調査をすると働かないのは

「自分に合った仕事を探しているから」と理由を挙げる人が一番多いという。

これがおかしい。二十歳やそこらで自分なんかわかるはずがありません。中身は、空っぽなのです。

仕事というのは、社会に空いた穴です。道に穴が空いていた。そのままに放っておくとみんなが

転んで困るから、そこを埋めてみる。ともかく目の前の穴を埋める。それが仕事というもので

あって、自分に合った穴が空いているなずだなんて、ふざけたことを考えるんじゃない、と言いたく

なります。

仕事は自分に合っていなくて当たり前です。私は長年解剖をやっていました。その頃の仕事には、

死体を引き取り、研究室で解剖し、それをお骨にして遺族に返すまで全部含まれています。

それのどこが私に合った仕事なのでしょうか。そんなことに合っている人間、生まれつき解剖向きの

人間なんているはずがありません。

そうではなくて、解剖という仕事が社会に必要である。ともかくそういう穴がある。だからそれを

埋めたということです。何でこんなしんどい、辛気臭いことをやらなきゃいけないのかと思う

こともあるけれど、それをやっていれば給料をもらえた。それは社会が大学を通して給料を私に

くれたわけです。

生きている患者さんを診なくていいというのも、解剖に向かった大きな理由です。一番助かったのは

、もうこれ以上患者が死なないということ。その点だけは絶対安心でした。人殺しをする心配が

ないからです。しかし患者さんを診るという行為から逃げ出しても、遺族の面倒だとか何とか

実はもっと大変なことがありました。

社会、仕事というのはこういうものです。いいところもあれば、悪いところもある。

患者の面倒の代わりに遺族の面倒を見る。全部合わせてゼロになればよしとする。

あとは目の前の穴を埋めていれば給料をくれる。仕事とはそういうものだと思っていれば、

「自分に合った仕事」などという馬鹿な考え方をする必要もないはずです。NHKの「プロジェクトX」

に登場するサラリーマンも、入社当初から大志を抱いていた人ばかりではないでしょう。

合うとか合わないとかいうよりも大切なのは、いったん引き受けたら半端仕事をしてはいけないという

ことです。一から十までやらなくてはいけない。それをやっていくうちに自分の考えが変わっていく。

自分自身が育っていく。そういうふうに仕事をやりなさいよということが結論です。

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